基幹システムの種類は6つ！代表的なシステムを一覧表で紹介します

企業の業務効率化を進める上で、基幹システムの導入は避けて通れない課題です。基幹システムとは、企業の中核となる業務を支えるシステムの総称であり、勤怠管理、人事給与、財務会計、生産管理、購買管理、在庫管理など、さまざまな種類があります。それぞれのシステムは独自の役割を持ち、業務の効率化と精度向上に貢献します。

しかし、基幹システムにはどのような種類があり、それぞれどのような機能を持つのか、システム導入前はどのように管理していたのか、詳しく理解している方は意外と少ないかもしれません。適切なシステムを選択するためには、各システムの特徴を正しく把握することが重要です。

本記事では、代表的な基幹システム6種類について、その役割や機能、システム以外での管理方法まで詳しく解説します。基幹システムの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

代表的な基幹システム6選！一覧表で紹介

企業の業務を支える代表的な基幹システムには、主に6つの種類があります。それぞれのシステムは特定の業務領域を担当し、企業活動に欠かせない役割を果たしています。ここでは、各システムの概要と、システム導入前に行われていた従来の管理方法を一覧表で整理してご紹介します。

システムの種類	主な管理対象	主な機能	システム以外での管理方法
勤怠管理システム	従業員の勤務時間	出退勤記録、残業管理、休暇管理	タイムカード、出勤簿、表計算ソフト
人事給与システム	従業員情報と給与	給与計算、社会保険手続き、人事情報管理	手計算、給与計算ソフト、紙の台帳
財務会計システム	企業の財務情報	仕訳入力、決算処理、財務諸表作成	手書き帳簿、会計ソフト、表計算ソフト
生産管理システム	製造工程と進捗	生産計画、工程管理、原価管理	紙の生産指示書、管理表、手作業での集計
購買管理システム	資材調達と発注	発注処理、仕入先管理、納期管理	紙の発注書、表計算ソフト、電話やファックス
在庫管理システム	商品や資材の在庫	入出庫管理、在庫数把握、発注点管理	手書き台帳、棚卸表、目視確認

これらの基幹システムは、それぞれ独立して機能しますが、相互に連携することで企業全体の業務効率を大きく向上させることができます。システム導入前は、紙やアナログな方法で管理していたため、データの正確性や業務のスピードに課題がありました。

基幹システムの導入により、これらの課題が解決され、リアルタイムでのデータ管理や自動化による効率化が実現しています。

基幹システム6種の詳細をそれぞれ解説

ここからは、代表的な基幹システム6種類について、それぞれの詳細を解説します。

• 勤怠管理システム
• 人事給与システム
• 財務会計システム
• 生産管理システム
• 購買管理システム
• 在庫管理システム

勤怠管理システム

勤怠管理システムとは、従業員の出退勤時刻や労働時間、休暇取得状況などを管理するシステムです。従業員がいつ出勤し、いつ退勤したか、残業時間はどれくらいか、有給休暇はどれだけ取得したかといった情報を正確に記録し、管理します。

システム導入前は、タイムカードや紙の出勤簿で管理することが一般的でした。従業員がタイムカードを打刻機に通して出退勤を記録し、月末に人事担当者がそれを集計して労働時間を計算していました。この方法では、打刻忘れや打刻ミスが発生しやすく、集計作業にも多くの時間がかかっていました。

勤怠管理システムを導入することで、パソコンやスマートフォン、専用端末から簡単に打刻でき、データは自動的にシステムに記録されます。残業時間の計算や休暇残日数の管理も自動化され、人事担当者の業務負担が大幅に軽減されます。また、労働基準法に準拠した管理ができるため、コンプライアンス対応にも役立ちます。

人事給与システム

人事給与システムとは、従業員の人事情報や給与計算を管理するシステムです。従業員の基本情報、所属部署、役職、給与体系、社会保険情報などを一元管理し、毎月の給与計算や賞与計算、年末調整などを自動で行います。

システム導入前は、紙の台帳や表計算ソフトで従業員情報を管理し、給与計算は手作業や専用の給与計算ソフトで行っていました。従業員数が増えるほど管理が煩雑になり、計算ミスのリスクも高まります。また、社会保険料や税金の改正があるたびに計算式を手動で更新する必要があり、担当者の負担が大きい業務でした。

人事給与システムを導入すると、勤怠データと連携して自動的に給与計算が行われます。法改正にも自動で対応し、常に最新の基準で計算できます。給与明細の電子化も可能で、紙の明細を配布する手間もなくなります。人事情報の検索や分析も容易になり、戦略的な人事管理が可能になります。

財務会計システム

財務会計システムとは、企業の財務情報を管理し、財務諸表を作成するシステムです。日々の取引を仕訳として記録し、総勘定元帳や試算表を作成し、最終的に貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を出力します。企業の経営状態を正確に把握し、適切な経営判断を支える重要なシステムです。

システム導入前は、手書きの帳簿や会計ソフト、表計算ソフトで管理していました。取引ごとに仕訳を手入力し、月次や年次で集計作業を行う必要がありました。入力ミスや転記ミスが発生しやすく、決算作業には膨大な時間がかかっていました。また、リアルタイムでの経営状況の把握が難しく、意思決定のスピードが遅れる原因となっていました。

財務会計システムを導入すると、販売管理システムや購買管理システムと連携し、取引データが自動的に仕訳として記録されます。手入力の手間が省け、ミスも削減されます。いつでも最新の財務状況を確認でき、迅速な経営判断が可能になります。決算処理も自動化され、税務申告の準備もスムーズに進められます。

生産管理システム

生産管理システムとは、製造業において生産計画から製造工程、原価管理までを統合的に管理するシステムです。受注情報をもとに生産計画を立て、必要な資材を手配し、製造の進捗を管理し、完成品の出荷までを一元的に把握します。製造業の生産性向上に欠かせないシステムです。

システム導入前は、紙の生産指示書や管理表を使って生産を管理していました。生産計画は表計算ソフトで作成し、現場には紙で指示を出し、進捗状況は手作業で集計していました。情報の更新が遅れたり、資材不足で生産が止まったり、在庫の把握が不正確だったりと、さまざまな問題が発生していました。

生産管理システムを導入すると、受注から出荷までの全工程がシステム上で管理され、リアルタイムで進捗状況を把握できます。資材の所要量計算も自動で行われ、適切なタイミングで発注できます。製造原価も正確に計算され、利益管理の精度が向上します。生産効率の分析も容易になり、継続的な改善活動にも役立ちます。

購買管理システム

購買管理システムとは、企業が必要とする資材や商品の調達を管理するシステムです。発注処理、仕入先管理、納期管理、検収処理などを一元的に行い、適切な購買活動を支援します。コスト削減や納期遵守、品質管理など、購買業務の効率化と最適化を実現します。

システム導入前は、紙の発注書や表計算ソフトで管理し、発注は電話やファックスで行っていました。発注履歴の管理が不十分で、同じ資材を複数回発注してしまったり、発注漏れが発生したりすることもありました。納期の管理も手作業で行うため、納品遅延への対応が後手に回ることも少なくありませんでした。

購買管理システムを導入すると、発注業務が電子化され、システム上で承認フローを経て発注できます。発注履歴はすべてシステムに記録され、いつでも参照できます。納期管理も自動化され、納品予定日が近づくとアラートが表示されます。仕入先ごとの取引実績や評価も管理でき、戦略的な購買活動が可能になります。在庫管理システムや生産管理システムと連携することで、さらに効率的な調達が実現します。

在庫管理システム

在庫管理システムとは、商品や資材の入出庫を管理し、適正な在庫量を維持するシステムです。入荷、出荷、移動などの在庫の動きをリアルタイムで記録し、現在の在庫数を正確に把握します。過剰在庫や欠品を防ぎ、在庫の最適化を実現することで、キャッシュフローの改善にも貢献します。

システム導入前は、手書きの台帳や棚卸表で在庫を管理していました。入出庫のたびに手作業で記録し、定期的に実地棚卸を行って帳簿上の数量と実際の在庫数を照合していました。記録漏れや記入ミスが発生しやすく、在庫数の正確性に課題がありました。また、在庫状況の把握に時間がかかり、急な発注に対応できないこともありました。

在庫管理システムを導入すると、バーコードやQRコードを活用して入出庫を記録し、在庫数がリアルタイムで更新されます。いつでも正確な在庫数を確認でき、欠品や過剰在庫のリスクが減少します。発注点管理機能により、在庫が一定数を下回ると自動でアラートが表示され、適切なタイミングで発注できます。特に小売業や卸売業では、需要予測機能を持つ在庫管理システムを導入することで、さらに高度な在庫最適化が実現できます。

基幹システムの種類におけるよくある質問

基幹システムの種類について、よくある質問をまとめました。ここでは、特に多い質問を3つ取り上げて詳しく解説します。

• 基幹システムとERPの違いは何ですか
• 中小企業でも基幹システムは必要ですか
• 基幹システムの導入にはどれくらいの費用がかかりますか

基幹システムとERPの違いは何ですか

基幹システムとERPの違いについては、多くの方が疑問を持たれます。基幹システムとは、勤怠管理、人事給与、財務会計、生産管理、購買管理、在庫管理など、個別の業務領域ごとに構築されるシステムの総称です。それぞれのシステムは独立して稼働し、特定の業務機能に特化しています。

一方、ERPとは企業資源計画と呼ばれる統合基幹業務システムのことで、これらの個別業務システムを一つのシステムに統合したものです。ERPでは、すべての業務データが統合データベースで管理され、部門間でリアルタイムにデータが共有されます。たとえば、販売データが自動的に在庫管理や会計処理に反映されるといった連携が可能です。

基幹システムは個別に導入できるため、初期投資を抑えられ、段階的にシステム化を進められるメリットがあります。一方、ERPは全社的なデータ統合により経営の見える化が実現しますが、導入コストが高く、導入期間も長くなる傾向があります。中小企業では基幹システムを個別に導入し、必要に応じて連携させる方法が現実的です。大企業や製造業など、部門間の連携が重要な企業ではERPの導入メリットが大きくなります。

中小企業でも基幹システムは必要ですか

中小企業でも基幹システムは必要かという質問もよくいただきます。結論から言えば、企業規模に関わらず、基幹システムの導入は業務効率化に大きく貢献します。むしろ、人員が限られている中小企業こそ、システムによる効率化が重要です。

中小企業では、少ない人数で多くの業務をこなす必要があります。勤怠管理や給与計算、在庫管理などを手作業で行っていると、担当者の負担が大きく、本来注力すべき営業や顧客対応に時間を割けなくなります。基幹システムを導入することで、これらのルーティン業務が自動化され、従業員はより付加価値の高い業務に集中できます。

また、中小企業向けのクラウド型基幹システムも多く登場しており、初期投資を抑えながら導入できる選択肢が増えています。月額制のサービスであれば、大きな初期投資なしに始められます。まずは優先度の高い業務から基幹システムを導入し、効果を確認しながら徐々に拡大していく方法がおすすめです。たとえば、在庫管理や勤怠管理から始めて、その後給与計算や会計システムを追加していくといったアプローチが現実的です。

基幹システムの導入にはどれくらいの費用がかかりますか

基幹システムの導入費用は、システムの種類、企業の規模、カスタマイズの程度などによって大きく異なります。クラウド型の基幹システムであれば、初期費用は数万円から数十万円程度で、月額利用料は一人あたり数百円から数千円程度が相場です。たとえば、従業員50人の企業が勤怠管理システムを導入する場合、初期費用10万円、月額利用料2万円程度が目安となります。

一方、オンプレミス型のシステムやカスタマイズが必要なシステムでは、初期費用が数百万円から数千万円かかることもあります。特に生産管理システムや在庫管理システムで、自社の業務フローに合わせた高度なカスタマイズを行う場合は、開発費用が高額になります。また、導入後の保守運用費用も年間で数十万円から数百万円程度必要です。

費用を抑えるポイントとしては、クラウド型のパッケージシステムを選び、できるだけ標準機能を活用することです。カスタマイズを最小限にすることで、初期費用を大幅に削減できます。また、複数のシステムを同じベンダーから導入することで、割引が適用される場合もあります。導入前に複数のベンダーから見積もりを取り、費用対効果を十分に検討することが重要です。無償の試用期間を提供しているサービスも多いので、実際に使ってみて自社に合うか確認してから本格導入するのも賢い方法です。

まとめ

基幹システムには、勤怠管理、人事給与、財務会計、生産管理、購買管理、在庫管理という6つの代表的な種類があり、それぞれが企業の中核業務を支えています。システム導入前は紙やアナログな方法で管理していたため、データの正確性や業務のスピードに課題がありましたが、基幹システムの導入により、これらの問題が解決され、大幅な業務効率化が実現できます。

導入費用はシステムの種類や規模によって異なりますが、クラウド型のサービスを活用することで、比較的低コストで始めることができるので、併せて検討しましょう。