
システム刷新の注意点はシステム刷新の目的を明らかにし、現場と一体化して進めることです。
システム刷新は業務全体に影響するプロジェクトであり、準備が不十分なまま進めると、導入したシステムが現場で使われない、移行したデータが合わないといったトラブルにつながりかねません。
本記事では、システム刷新の際に押さえたい注意点と、失敗を防ぐための進め方を、基幹システムの刷新を検討している情報システム部門や経営企画の担当者に向けて解説します。自社の刷新計画を立てる際の参考にしてください。
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目次
システム刷新とは
システム刷新とは、業務を支えるシステムを新しい仕組みへ全面的に入れ替え、あわせて業務の進め方やデータのもち方まで見直す取り組みです。プログラムの一部修正や機能追加、バージョンアップといった部分的な更新は、今のシステムを前提に手を入れる方法です。それに対してシステム刷新は、現行の仕組みそのものを置き換えるため、影響範囲が広く、計画の立て方が成否を左右します。
刷新を検討するタイミングとしては、次のような状態が挙げられます。
- ハードウェアやOSが古くなり、メーカーのサポート終了が近づいている
- 改修を重ねた結果、保守費や運用の手間が年々増えている
- 仕様を把握している担当者が限られ、システムがブラックボックス化している
- 事業の拡大や業務の変化に、システムの機能が追いつかない
いずれかに当てはまる場合は、トラブルが表面化する前に刷新の準備を始めましょう。
なお、基幹システムを刷新する手法の比較や全体像については、基幹システム刷新とは?必要性・進め方・失敗しないためのポイントをわかりやすく解説で解説しているので、あわせてご覧ください。
システム刷新の際の注意点
システム刷新で失敗しないためには、着手前から稼働後まで、各段階で確認すべきポイントを押さえておく必要があります。ここでは、とくに見落とされやすい注意点を8つ紹介します。
- 刷新の目的を明確にする
- 現状の業務とシステムを把握する
- 現行システムをそのまま再現しない
- 現場の担当者を早期に巻き込む
- 過度なカスタマイズを避ける
- データを整理してから移行する
- 移行リハーサルと切り戻し計画を用意する
- 導入後の運用体制まで決めておく
刷新の目的を明確にする
システム刷新の際は、まず刷新の目的を明確にしましょう。システムの入れ替えそのものが目的になると、何を改善すべきかの判断基準がなくなり、要件や予算が膨らみやすくなるためです。
たとえば「受発注の処理時間を短くしたい」「在庫の数字を店舗と本部で一致させたい」のように、解決したい業務課題や経営課題を具体的な言葉にします。可能であれば、処理時間や入力件数など効果を測れる指標もあわせて決めておくと、刷新後の評価がしやすくなります。
目的がはっきりしていれば、機能の追加や仕様の変更で迷ったときに立ち返る基準になるので、関係者で共有しておきましょう。
現状の業務とシステムを把握する
刷新の目的を決めたら、現状の業務とシステムを把握しましょう。現状が見えていないと、新しいシステムに必要な機能や、移行すべきデータを正しく判断できないためです。
具体的には、次の4つを整理します。
- 業務フロー:誰が、いつ、どの画面で何を処理しているか
- 機能:現行システムで実際に使っている機能と、使っていない機能
- データ:保有しているデータの種類、件数、保存場所
- 連携:会計システムやPOS、倉庫管理システムなど周辺システムとのデータのやり取り
設計書が古いままになっているケースも多いため、資料だけで判断せず、実際に操作している担当者へのヒアリングもあわせて進めることが大切です。現状を正しく把握しておくことで、後の工程で「必要な機能が抜けていた」という手戻りを防げます。
現行システムをそのまま再現しない
新しいシステムでは、現行システムの機能や業務をそのまま再現しないようにしましょう。長年の運用で積み重なった例外処理や、今では使われていない帳票まで引き継ぐと、開発費が増えるうえ、刷新後も業務の非効率が残ってしまうためです。
たとえば、担当者ごとに作っていた似た内容の集計表は、1つの帳票にまとめられないかを検討しましょう。紙で回していた承認手続きも、システム上の承認フローに置き換えられる場合があります。
刷新は業務を見直す機会でもあります。今の業務にシステムを合わせるのではなく、本来あるべき業務の形を起点に要件を整理することが重要です。
現場の担当者を早期に巻き込む
刷新プロジェクトでは、現場の担当者を早い段階から巻き込みましょう。情報システム部門や経営層だけで要件を決めると、実際の業務に合わない画面や手順ができあがり、導入後に使われない事態を招くためです。
具体的には、発注や棚卸、仕入の検品など、日々システムを操作する部署から代表者を選び、要件定義やテストに参加してもらいます。現場ならではの要望や、マニュアルには書かれていない例外対応を早めに拾えるのが利点です。
現場の声を反映したシステムは、稼働後の定着もスムーズに進みます。意見を集めるだけで終わらせず、採用しなかった要望にはその理由を伝えておくと、協力を得やすくなります。
過度なカスタマイズを避ける
パッケージ製品を使う場合は、過度なカスタマイズを避けましょう。カスタマイズを重ねるほど開発費と期間が膨らみ、製品のバージョンアップ時にも改修が必要になるなど、保守の負担が大きくなるためです。
基本は標準機能に業務を合わせ、自社の強みにつながる独自業務や、取引条件の都合で変えられない部分だけを追加開発の対象にしましょう。判断に迷う要望は、「その機能がないと業務が止まるか」「運用の工夫で代替できないか」という観点で優先度をつけると整理しやすくなります。
なお、標準機能で足りるかどうかは、デモ環境で実際の業務データを使って操作してみると判断しやすくなります。
データを整理してから移行する
データ移行の前には、移行するデータを整理しておきましょう。重複や欠損、表記揺れがあるデータをそのまま移すと、新システムで集計結果が合わない、検索で目的の商品が見つからないといった不具合につながるためです。
たとえば、同じ取引先が「〇〇商事」と「〇〇商事株式会社」で別々に登録されている場合は、1件に統合します。また、何年も動きのない商品マスタや、取引の終わった取引先は、移行対象から外すことも検討しましょう。
移行するデータを必要なものに絞ることで、移行作業の負担と新システムの不具合をあわせて減らせます。整理のルールは移行前に文書にまとめ、担当者によって判断がぶれないようにしておくのがおすすめです。
移行リハーサルと切り戻し計画を用意する
本番移行に備えて、移行リハーサルと切り戻し計画を用意しましょう。本番でいきなり移行すると、想定より作業に時間がかかる、データの件数が合わないといった問題に、業務を止めたまま対応することになるためです。
移行リハーサルでは、本番と同じ手順とデータ量で作業をおこない、所要時間や移行後のデータの整合性を確認します。あわせて、重大な問題が起きた場合に旧システムへ戻す切り戻しの手順と、その判断を下す基準や責任者も決めておきましょう。
切り戻しの手順まで用意しておけば、万一のトラブルでも業務への影響を最小限に抑えられます。
導入後の運用体制まで決めておく
システム刷新では、導入後の運用体制まで決めておきましょう。稼働直後は操作方法の問い合わせや想定外の不具合が集中しやすく、対応窓口が決まっていないと現場が混乱するためです。
具体的には、次のような項目を事前に整理します。
- 問い合わせの受付窓口と、ベンダーへのエスカレーションの流れ
- 利用者向けの操作研修とマニュアルの整備
- 不具合や改善要望を記録し、対応の優先順位を決める方法
稼働後も改善を続ける仕組みを用意しておくことで、刷新の効果を長く維持できます。運用体制はシステムの設計と並行して検討を始めておくと安心です。
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システム刷新を成功させるための進め方
システム刷新は、次の6つのステップで準備から本番稼働、稼働後の改善までを進めるのが基本です。
- 現状の課題を整理する
- 刷新後の業務と要件を決める
- 製品とベンダーを選定する
- 設計・開発とテストを進める
- データ移行と本番切り替えをおこなう
- 導入効果を確認して改善する
現状の課題を整理する
システム刷新の最初のステップとして、現状の課題を整理しましょう。課題が曖昧なままでは、刷新で何を実現すべきかが定まらず、後の要件定義や製品選定の判断もぶれてしまうためです。
たとえば、「月末の締め処理に時間がかかる」「店舗ごとに在庫の数字が合わない」「帳票をExcelで作り直している」といった業務上の問題と、「保守費が増えている」「改修できる担当者がいない」といったシステム上の問題を分けて洗い出します。洗い出した課題は、業務への影響の大きさで優先順位をつけておくと、刷新の範囲を決めやすくなります。
課題の一覧は、次のステップで要件を決める際の出発点です。
刷新後の業務と要件を決める
課題を整理したら、刷新後の業務と要件を決めましょう。業務の姿を先に描かずに機能だけを並べると、現行システムの焼き直しになりやすいためです。
具体的には、刷新後の業務フローを描いたうえで、その業務に必要な機能を要件として書き出します。要件は「必須」「あれば便利」「将来対応」のように優先度で分け、処理速度やセキュリティ、同時に利用する人数など、機能以外の条件も明記しておきます。
要件が固まっていれば、次のベンダー選定で各社の提案を同じ基準で比較できるので、関係部署の合意まで取っておきましょう。
製品とベンダーを選定する
要件が決まったら、製品とベンダーを選定しましょう。価格だけで選ぶと、自社の業務に合わない、導入後の支援が手薄といった問題が稼働後に表面化するためです。
比較の際は、次の観点も確認します。
- 同じ業界や同規模の企業への導入実績
- 要件に対して、標準機能とカスタマイズでどこまで対応できるか
- データ移行や周辺システムとの連携を支援してもらえるか
- 稼働後の保守や問い合わせ対応の体制
選定の際は複数の候補から提案を受け、デモや見積もりの内容を同じ条件で比べることが重要です。導入後も長く付き合う相手になるため、担当者との相性や説明のわかりやすさも判断材料にしてください。
設計・開発とテストを進める
ベンダーが決まったら、設計・開発とテストを進めましょう。テストが机上の確認だけで終わると、実際の業務で使ったときに処理が遅い、必要な操作ができないといった問題を見逃してしまうためです。
たとえば、月末の締めや繁忙期の大量発注など、負荷が高くなる場面を想定したデータで処理時間を確認します。現場の担当者にも実際の業務の流れに沿って操作してもらい、画面の使いやすさや手順に無理がないかを確かめましょう。
テスト期間中に見つかった問題は、稼働前に直すものと稼働後に対応するものに分けて管理すると、スケジュールの遅れを防げます。
データ移行と本番切り替えをおこなう
テストが完了したら、データ移行と本番切り替えをおこないましょう。移行リハーサルで見つかった課題を解消しないまま本番を迎えると、同じトラブルが本番で再発するおそれがあるためです。
切り替えの日程は、業務量が少ない時期や休業日を選び、業務への影響を抑えます。また、一定期間は旧システムを参照できる状態で残す、一部の店舗や拠点から順に切り替えるといった方法で、リスクを分散させることも可能です。
切り替え直後は、データの件数や金額が旧システムと一致しているかを重点的に確認しましょう。差異が見つかった場合に備え、確認の担当者と報告ルートも決めておくと対応が早まります。
導入効果を確認して改善する
本番稼働後は、導入効果を確認して改善を続けましょう。稼働した時点で終わりにすると、刷新の目的が達成できたかどうかがわからず、残った課題も放置されてしまうためです。
具体的には、刷新の目的に合わせて設定した目標と、稼働後の実績を比べます。たとえば締め処理の時間や在庫差異の件数が改善していない場合は、原因が操作の習熟不足にあるのか、設定や機能にあるのかを切り分けて対策を考えます。
効果の確認と改善を定期的に繰り返すことで、システムを業務の変化に合わせて育てていくことが大切です。
流通・小売業のシステム刷新なら「基幹船」
弊社ブライセンが提供する「基幹船」は、流通業向けの基幹システムです。発注から仕入、在庫、棚卸、買掛までの業務を統合して管理でき、主に次の機能を備えています。
- 発注:店舗・本部発注、発注承認、自動発注との連携
- 仕入・返品:伝票作成、欠品予定やリードタイムオーバーなどのチェック
- 移動・廃棄:店間移動の申請・承認、廃棄やロス、在庫調整
- 買掛・支払:請求照合、買掛残高照会、支払業務
- 棚卸:棚卸スケジュール、営業中棚卸、照会・承認
- データ分析:定型分析帳票、セルフサービス型BI
基幹船は、企業ごとに異なる業務プロセスに合わせたカスタマイズが可能で、複数のオフショア拠点を活用してカスタマイズ費用を抑えられる点も特長です。また、需要予測型の自動発注を備える「B-Luckスイート」や倉庫管理システム「COOOLa」など弊社のシステムに加え、会計システムなどの外部システムとも連携できます。
さらに、タブレットを標準実装しているため、店舗の現場でも見やすい画面で入力や照会が可能です。導入時は、課題やご要望のヒアリングから、カスタマイズを含めたシステムの提案、デモでの確認まで弊社が伴走します。データ移行についても、事前の分析と移行計画の策定、テストを経て進めます。
まとめ
システム刷新は、現行システムを新しい仕組みへ置き換え、業務のあり方まで見直す取り組みです。成功させるには、入れ替えそのものを目的にせず、解決したい課題を明確にしたうえで、現状の業務とシステムを把握することから始めましょう。
進める際は、現行機能の再現や過度なカスタマイズを避け、現場の担当者を早い段階から巻き込むことが大切です。データの整理や移行リハーサル、切り戻し計画、導入後の運用体制まで事前に準備しておけば、移行時のトラブルや導入後の混乱を抑えられます。
弊社の「基幹船」は、発注・仕入・在庫・棚卸・買掛などの業務を統合し、業務に合わせたカスタマイズや周辺システムとの連携にも対応しています。流通・小売業でシステム刷新を検討している場合は、自社の課題を整理する段階から、ぜひご相談ください。